SweetSundaydate
「恋はあせらず?」



ハンガー二階で立ち尽くす、舞。
既に20分近くは、ここでこうしてつっ立っている
少し、いや結構(かなり)恐い。
彼女の考え事は、明日のデートのことである。
彼とのデートは明日で3回目。
しかし、厳密にいえば前の2回は偶然の産物である。
1回目は
日曜に偶然会って図書館に同行したこと。
2回目は
『皆で親睦会』の際、待ち合わせに現れたのが
自分と速水だけだったこと。
・・・そして今回。
今回は確実にデートである。

(で、デェトとはどうすれば良いのだ・・・。)
舞は真剣である。
しかし、恋愛沙汰で何の知識も持ち得ない舞が
考えたところで、答えが出てくるわけがない。
一人、うんうん唸っていると
「あら、何か悩みごと?」
と、声をかけられた。
舞は顔を上げると、そこに女神を見た気分になった。
声の主は、原素子。
彼女ほど男女関係で知識のある人物は小隊内にはいない。
原は、舞の考え事を見透かしたように笑うと言った。
「ふふっ、速水くんのことかしら?」
大人の余裕スマイルである。
正反対に、ぼっと顔を赤くする舞。
「なっ・・・ななな、なぬをっ、いやっ何をっ!!」
反論しようとするも、バレバレである。
原は愉しげに「ふふっ」と笑うと立ち去る。
いや、去ろうとしたが出来なかった。
「・・・?」
原は振り返る。
そこには、彼女の上着の裾を掴んでいる舞がいる。
「ま、待て。話がある。」
赤い顔で舞がいう。
「なにかしら?」
原は舞を見た。
「・・・一緒に来い。」
こうして、舞は多少視線が気になるハンガーから、原を連れ出した。
因みに、舞は原が奥様戦隊であることをまだ知らない。

「で、何かしら?」
何故か女子校倉庫まで連れて来られた原である。
そんな原の問いに、舞は更に顔を紅くして答えた。
「でっ、デェトの心得を教えてくれっ。」
「心得?」
思わぬ言葉に、原が素っ頓狂な声で返す。
とはいえ、舞は真剣で紅い顔のまま、こくんと頷く。
「もしかして、デートしたことないの?」
確か、情報によると2回位あったような・・・。
と、原は記憶をたどる。
「ふ・・・二人でと言われたのは初めてだ。」
(速水くん、奥手なのかしら・・・?)
ふと、そう思うものの、
(でも・・・。)
考えてみる。
年頃の男の子に可愛い彼女ができて1か月。
(速水くん、そろそろ進展したいんじゃないかしら?)
原の奥様戦隊魂に火がついた。
心の中でにんまり笑うと、原は講義を始める。
「そうねぇ、場所にもよるけど、まず服ね。」
「制服では駄目か?」
・・・お話になりません。
原も呆れ顔である。
「そんなんじゃ、仲良しになれないわよ?」
「な・・・かよし・・・?」
「服は、ちゃんと私服で行くこと。少し位おしゃれしてね」
人指し指を上下に振りながらアドバイスする原の言葉を
舞は真剣な顔で聞いている。
(今時珍しい純情ちゃんね。)
原はそう思い、くすりと笑う。原は舞のこういう所を
とても気に入っている。
同性ながらも『可愛い』と思う。
(速水くんが好きになったのも、解るわ。)
とりあえず、舞を女の子らしくさせるための知識を
一通り教えると、原はにっこり笑って言った。
「特別に、もっと仲良くなれる方法教えてあげる。」
その笑顔は奥様戦隊の企みの笑顔であった。

  
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