きみのうた
「心は君のもとへ」



「え?その歌がいいの?」
まりに歌を教わる上で、歌詞を書き出した紙を一通りみて気に入ったものを速水は選んだが、返ってきたのは冒頭のセリフである。
「え?駄目なの?」
意外そうに返すまりに、速水も意外そうに返した。
まりは、『そうじゃないけど』と言い
「あまり幸せな歌じゃないよ、コレ。」
と、付け足す。
だが、速水はこの歌がかなり気に入ったらしく
「幸せな歌じゃないなら、僕の言葉で少し変えていいかな?そしたら、この歌僕の歌にならないかな?」
そう言う速水を見て、まりは笑った。
そこまで気に入ってるなら、止めるのも悪いと思ったのだろう。
「そうだね。君の歌にするといいよ。
じゃ、譜面とコレ。君の相棒よ大事にしてね。」
「ありがとう、まりさん。」
速水は笑顔で譜面と楽器を受け取る。
さて、とまりは言うと
「今からだと一曲が限界かなぁ。コレ、結構難しいけど速水君頭よさそうだから、覚えられると思うよ。」
そうして練習を始めたものの、軍楽LV2、強運LV3でもこの楽器は難しく、てこずっていた。
指で押さえる箇所
コードの流れかた
まりの動きに併せて、学ぶこと4時間。
なんとか速水は『弾き語りの技能』を収得した。
最後は、速水一人で一曲通して見せた。
「うん、これなら大丈夫だよ。」
『あとはキモチね。』と、まりは笑って言った。
とにかく、先生からの合格をもらい速水は帰宅することにした。一応部屋でも練習してみて考える。
ちょっと・・・かなり恥ずかしい、このプレゼント。
きっと、誰にも真似できないであろう自信がある。
あとは、何処で渡すかだ。
時計を見れば午前4時。
「・・・寝よう。」
疲れていると、折角覚えたものの間違ってしまいそうだ。
布団にもぐると、ふと思い出す。
『うまくいったら報告するのよ?約束だからね?』
別れ際のまりの言葉。
二人を合わせてみたらどうなるかな、と考えてしまう。
うつら、うつらと速水に眠りが訪れる。
(・・・明日・・・。そうだ、あそこにしよう。)
ぼんやりと思い付く。
(・・・舞は何て言うかな?
馬鹿だって、笑うかな・・・?)
眠りに落ちるその瞬間までも、彼女に想いを馳せる。
そして、速水は眠りに引き込まれた。


  
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送