JuniorSweet〜奥様は☆☆〜


「舞、舞ってば!!」
玄関の戸をくぐるなり、青い癖っ毛の青年は中の女に声をかける。
その声は、少し無からず非難が含まれているようにも聞こえる。
「どうした、厚志」
右手に菜箸、左手にフライパン。
何時でも何処でも魅力増幅ふりふりエプロン装備で、女―舞―は振り返る。
『どうした』と、口には出しても疑問符などは付かない。舞はそういう所のある女だ。
「どうもこうもないよ」
男―厚志―は、少し呆れたように、また少し非難じみた言葉を発する。
舞は少し眉間に皺を寄せて、続きを促す。
「マサキとユウキがねえ・・・」
続きを言い始めた所で、騒々しい足音が言葉を遮る。
「かーさま、いまもどった。」
幼い声が二つ、同時に発せられる。
「うむ。」
舞は、その一言で片付る。
一見時代物じみたやり取りではあるが、それはここでは日常のものであった。
「で、何がどうもこうもないのだ?厚志。」
逸れた話を、舞が戻すと、厚志は一つ溜息をついた。
「そうそう、マサキとユウキがさあ……。」
「なにをいう、とーさま。」
「そうだ、われらはまちがっておらぬ。」
またも、厚志は言葉を遮られた。


旦那様はヒーローの実績を持つ、ごくごく普通のサラリーマン。
奥様は、時代物じみた話し方をする、美人で聡明な専業主婦。
2人は、ごくごく普通に出会い
ごくごく普通に恋をした。
ただ、何やら少し困った事に奥様には有って無いような秘密が有ったのです。
なんと、奥様は芝村だったのです。

…って言うか、そんなものは出会った頃から知ってる事だけどね…。
話を戻すと、厚志は今日最愛の妻との間に出来た2人の愛娘
マサキとユウキを幼稚園にお迎えに行ったのだ。
そこで、見てしまった。
2人が、太鼓橋の上で腰に手を当て胸を張り
「ゆくゆくは、われらしばむらが、せかいのすべてをてにするのだ」
と、何とも自信たっぷりに宣言しているところを……。

「別に良いではないか。」
2人が眠ったあと、話を聞いた舞は、あっさりとそう言い放った。
そのための努力を惜しまないのが、芝村のスタイル。
また、厚志もそんな芝村の一人だ。
そんな2人の子供が芝村に育たないわけが無い。
厚志としては、まさか幼稚園児という年齢から「芝村的演説」が出来るような育て方をした覚えは無かった。
「僕も嫌なわけじゃないよ。
まあ、吃驚しちゃったけどね。」
これも、学生の頃想像した可能性の一つだしね。
そう言って厚志は舞を抱きしめる。
「なっ…何だ。いきなり。」
突然の抱擁に、舞は顔を紅くしてうろたえる。
厚志は悪戯っぽい微笑を浮かべると、舞の顔を覗き込む。
「子供が2人って、子沢山と言うには少ないと思わない?」
「そ…それはつまり…。」
舞の顔が益々紅くなる。
「……駄目?」
いい大人だと言うのに、小首を傾げて問い掛ける姿は可愛らしい。
そして、相変わらず舞はその仕草に弱かった。
厚志は、ぎゅうっと舞を抱きしめてとどめの台詞を口にする。

「僕が舞を好きな気持ちを幸せを、舞は形ある幸せにして返してくれる。
もっと幸せの数を増やしたくない?」

―みつめて てにふれて みあげて たしかめて あいを―

それもまた一つの可能性の世界

3000HITニアピンで踏んで下さった若だんな様の
リクエストで書かせて頂きました。
「ありきたり〜」その後の2人です。
ふたりっつーか増えてますがな・・・。
私の想像する速水家です。
そのまんま量産型芝村です。(捻ろうよ自分)
リクエストにお応えできているでしょうか…?
お待たせした挙句こんなで済みません。あーんど有り難う御座いました。


おまけと言うか、何と言うか描いて見ました。
マサキとユウキ。こんな感じの子供だと私は思い……。(笑)
まあ、何言っても量産型。

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